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材料
シーリング材上の塗料の硬化不良
MS2500(2成分形変成シリコーン系)及びPU9000typeNB(2成分形ポリウレタン系)上の油性、フタル酸系または1液形ターペン可溶塗料が乾燥せず、塗料が硬化不良となる現象です。
1液形ターペン可溶ウレタン樹脂塗料の未硬化の状況
長油性フタル酸樹脂塗料(=合成樹脂調合ペイント<SOP>)や油性塗料(OP)、更に一部の1液形ターペン可溶ウレタン樹脂塗料は、空気中の酸素により塗料成分が酸化重合し乾燥するタイプの塗料です。
この種の塗料は、反応を促進するための成分として皮膜形成促進剤(ドライヤー)が配合されていますが、この促進剤はシーリング材成分と反応する性質があります。このためシーリング材に塗布した場合に、塗料の乾燥が阻害され、塗料の乾燥が遅れたり、まったく乾燥しなくなることがあります。事前対策
・MS2500やPU9000typeNB等の変成シリコーン系及びポリウレタン系シーリング材上には油性やフタル酸系塗料を塗布しないで下さい。
・1液形ターペン可溶ウレタン樹脂塗料については、塗料の種類によって問題がないものもあるので、シーリング材との適合性を事前確認して下さい。事後対策
・未硬化塗料を極力撤去してから、問題のない塗料で再塗装して下さい(塗装業者に依頼)。
・当該シーリング材を撤去し、同色系のMS2500typeNB(2成分形変成シリコーン系)で打ち替えて下さい(露出仕様とします)。原因と事前対策を読む記事を閉じる -
材料
シーリング材上の塗膜のベタツキ・汚染
MS2500(2成分形変成シリコーン系)やPS169N(2成分形ポリサルファイド系)などのシーリング材表面に塗装した塗膜がベタつき、かつ、変色する現象です。
ブリード汚染の状況
シーリング材に含まれる可塑剤(ゴム状の物性を付与する成分)が、塗膜に移行して、塗膜を軟化・変色させたと考えられます。この現象を「ブリード汚染」といい、環境対応形の弱溶剤タイプや水性タイプの塗材との組合せで比較的発生しやすいことが知られています。
ブリード汚染のメカニズム
事前対策
使用する塗料とシーリング材の組合せで、ブリード汚染の可能性の有無を事前確認して下さい。
・ノンブリードタイプのシーリング材を使用して下さい。
(例)PU9000typeNB(2成分形ポリウレタン系)・MS2500typeNB(2成分形変成シリコーン系)・2550typeNB(1成分形変成シリコーン系)
・汎用タイプのシーリング材を使用するときは、シーリング材表面にペンギンバリアプライマーを塗布してから塗装をします。ただし、ワーキングジョイントの場合、バリアプライマーが固いため、割れや塗膜はく離が発生する場合があります。事後対策
塗装されたシーリング材を切り取り、ノンブリードタイプのシーリング材で打ち替えてから、目地部分または外壁全面を再塗装して下さい。
・ノンワーキングジョイントで、汚染の程度が軽微である場合は、汚染部分にペンギンバリアプライマーを塗布してから、再塗装(タッチアップ塗装)して下さい。原因と事前対策を読む記事を閉じる -
材料
変成シリコーン系シーリング材の白亜化
MS2570(2成分形変成シリコーン系)や2550LM(1成分形変成シリコーン系を充填した目地で、目地深さが浅い目地や目地際などシーリング材の厚さが薄い箇所でシーリング材の白亜化が発生する現象です。
目地深さが浅い場合の事例
目地際薄層部での事例
シーリング材に配合されている老化防止剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤など)が、シーリング材の薄い部分では目地内部から表面への供給量が少なくなるため、表面劣化(白亜化)が進んだものと考えられます。
目地際白亜化のメカニズム
事前対策
・シーリング材の薄膜部ができないようにマスキングテープを目地際にしっかり張り付けて下さい。
・バックアップ材はしっかり目地底まで押し込み、シーリング材の厚さは10mm以上確保して下さい。事後対策
・白亜化したシーリング材を撤去し、打ち替えて下さい。
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材料
2成分形変成シリコーン系(応力緩和形)の膨れ現象
MS2570(2成分形変成シリコーン系)を施工後、数ヵ月で目地表面に発生する「パチンコ玉状」や「かまぼこ状」の膨れで、次のような傾向が見られます。
①施工後早くて2〜3ヶ月、平均して6ヶ月経過後に発生し始める。夏季を過ぎてからの発生が多く、成長が著しい。
②方位面では東・西面での発生が多く、北面ではほとんど認められない。
③発生部位としては施エ時に、気泡を含んで充填された箇所での発生が多い。
④膨れ内部のガス分析の結果では、成分は空気及び水蒸気であった。
⑤同一現場でもサイディングボードの種類、小口面の塗装の有無、湿潤状態によっても発生頻度が相違している。内部気泡の状況
表面の気泡発生状況
この現象は、材料面・施工面・被着体面から、充填したシーリング材の内部あるいはその底部に何らかの形で混入した「気泡」が発生源となります。混入した「気泡」が時間の経過に伴う寒暖の熱エネルギーの変化を受け、内部の水蒸気圧が増大し気泡上部のシーリング材硬化層を押し上げようとする力が働いたものと考えられます。
従来の「弾性シーリング材」では、気泡の膨張に対して抵抗力を有しているものが多く、仮にこの応力に一時的に屈したとしても常温になれば元の平滑面に戻る(逆のアバタ現象を呈することもある)のに対し、MS2570の場合は、その固有のゴム物性である「応力緩和性」がむしろ災いして、元の平滑状態に戻らなくなると考えられます。この日々の変形サイクルが繰り返されることで、早くて数ヶ月後には「パチンコ玉状」や「かまぼこ状」の膨れまで成長していくものと考えられます。
事前対策
①材料面
現在は、特長である「自己接着性」を損なうことなく、膨れ防止も加味した応力緩和性を有する性能としています。
②施工面での留意事項
・気泡を巻き込みにくいシーリング材撹拌機の使用
→ハンドドリルは使用せず、自動反転型回転式混合機を使用して下さい。
・吸込みガンでの吸込み作業
→極力,エアーを巻き込まないように吸い上げて下さい。
・缶底に残った材料の扱い方
→かすりとって充填せず、次の缶に気泡を巻き込まないように移し替えて下さい。
・シーリング材の充填
→目地幅に合ったノズルを使用し、目地の底部から充填して下さい。目地内部や目地底にエアーだまりが残らないように充填して下さい。
・バックアップ材の装填
→金属製の皮スキ等による押込み時の損傷をなくすため,鋭利でない「竹ベラ」等の治具を使用して装填して下さい。
・ヘラ仕上げ
→目地底まで十分に力が伝わるよう、シーリング材の一次押さえは必ず金ヘラで行い、シーリング材中のエアー抜きも同時に実施して下さい。事後対策
当該シーリング材を切り取り、再度専用プライマーUS-2を塗布し,上記の施工方法を留意しながらMS2570を再充填して仕上げて下さい。
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材料
変成シリコーン系及びシリコーン系シーリング材によるポリウレタン系の未硬化
変成シリコーン系やシリコーン系シーリング材と同時に施工したPU9000typeNB (2成分形ポリウレタン系)の表面が未硬化となる現象です。
2成分形ポリウレタン系シーリング材は,基剤中のイソシアネートと硬化剤成分のポリオールが反応して硬化が進行します。しかし、このイソシアネートは、変成シリコーン系シーリング材やシリコーン系シーリング材が硬化するときに発生するアルコール・オキシム・ヒドロキシルアミンなどとも反応するため、この2種が同時に施工されるとポリウレタン系シーリング材を硬化させるイソシアネート成分が失われポリウレタン系シーリング材の表面が硬化しなくなります。
硬化阻害反応のメカニズム
事前対策
・変成シリコーン系及びシリコーン系シーリング材を十分に硬化させた後に,ポリウレタン系シーリング材を施工して下さい。
・ポリウレタン系シーリング材を十分に硬化させた後に,変成シリコーン系及びシリコーン系シーリング材を施工して下さい。事後対策
・硬化不良部分を撤去し,打ち替えて下さい。
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