不具合事例とQ&A

  • 施工

    2成分形のシリコーン系・ポリイソブチレン系・変成シリコーン系の「アバタ」現象

    施工後半日~1日の硬化途上段階で、目地表面に1~5mmΦのアバタ状(クレーター状)の凹みが発生する現象です。アバタが発生した箇所の直下(約0.5~3mm)には必す「半月状の気泡」が存在し、凹みは2~3日経過すると安定して発生もほぼ終息します。有機金属触媒下での縮合反応系で多く発生し、ポリウレタン系やポリサルファイド系では極まれに見られる現象です。また、高温下や温度変化が大きいほど発生しやすく、特に春から夏など季節の変わり目に多く発生し、目地幅が広く、色は濃色系統(ブラック・アンバー等)で艶のある方が目立ちやすい現象です。

    シリコーン系のアバタ状況

    変成シリコーン系のアバタ状況

    材料内に混入した「気泡」が原因となります。
    硬化途上のシーリング材に内在する気泡の中の「水蒸気」及び「硬化とともに発生する反応気体」が表面を透過し大気中に揮散していくと、混入した気泡は収縮していきます。その際に、目地底や部材と接触しているシーリング材より厚さも薄く動きやすい(自由度が高い)表面部分のシーリング材が僅かに引っ張られて凹み、それがアバタとなります。
    なお、この現象は、内部に特に大きな気泡がない限り、美観上の問題にとどまるもので、シーリング材本来の役割である水密性・気密性を損なうことはありません。

    事前対策

    1)施工面
    アバタの出やすさは、次に示す4つの因子が大きく影響します。
    ①施工時の温度環境、シーリング材の状態
    ②撹拌機のパドル形状・回転方向・回転数
    ③充填方法
    ④目地の仕上げ方法

    2)材料面
    仕上調整剤(1〜2袋)を混合時に投入して撹拌し、上記の因子に注意して施工して下さい。

    事後対策

    1)美観上著しく問題となる部分を撤去し,同種のシーリング材により再充填を行うか,SR2520(2成分形シリコーン系)以外はアバタや薄層未硬化を生じにくいMS2570(2成分形変成シリコーン系)や2550LM(1成分形変成シリコーン系)の同色品で表面を被覆し補修します。薄層を残さない場合は、MS2500(2成分形変成シリコーン系)でも施工可能です。この場合は,表面をメチルシクロヘキサン等の溶剤で清掃し,専用プライマーは塗布しないで施工して下さい。

    2)艶の除去を目的として,次の方法により補修します。
    ①軍手・ウエス等で当該目地部分の表面をこすり,目あらしして艶を消します。
    ②プライマーSS-1を塗布して艶を消します。この際被着体にはみ出さないよう,必すマスキングテープを張ってから塗布して下さい。はみ出すと艶が消えて白っぽくなり、被着体表面の意匠性が変わることがあるので注意して下さい。

    どちらの方法も意匠上の問題ですので、目立たない箇所で事前確認をしてから補修方法を決定して下さい。

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  • 材料

    虫によるシーリング材の損傷

    シーリング材がダンコ虫等により食べられ損傷する事例です。

    地表部分での損傷状態

    欠損部分

    損傷中のダンゴ虫

    損傷中の虫類

    ・ダンゴ虫等が地面からシーリング目地に移動し、シーリング材が食物として食べられたことによる欠損ですが、損傷を受けやすいシーリング材の種類や虫の種類等に関する詳細は不明です。
    ・損傷は地面近辺に発生し、地表から離れるほど損傷は少なくなります。

    事前対策

    ・外壁周辺に虫類が繁殖しないような環境づくりが基本ですが、根本的対策は困難と考えられます。
    ・事例では同種の虫害の発生は地上高さ約1m以下の部位に限られているので、低部のシーリング材を露出しないなどの対策も有効ではないかと考えられます。

    事後対策

    ・欠損部の補修及び虫類の駆除をして下さい。

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  • 材料

    鳥によるシーリング材の損傷(鳥害)

    目地に充填されたシーリング材が鳥に突つつかれ損傷する現象です。

    笠木目地の損傷状態I

    笠木目地の損傷状態II

    ・鳥が嘴(くちばし)でシーリング材を突っつくことによりシーリング材が損傷したものです。
    ・鳥はシーリング材を食するのではなく、嘴で突つつくことを好むようです。どのような種類の鳥がシーリング材を突つつくのを好むのかは不明ですが、損傷は都市部でも見られ、カラスなどによる被害が多いのではないかと考えられます。
    ・シーリング材の色や種類による差はないと考えられます。

    事前対策

    ・地域・高さ・方位などを勘案しても、鳥が飛来するか否かを事前に予測することは困難と考えられます。ほとんどの建物は鳥害に遭わない訳ですから、事前にコストをかけにくいのも現状です。
    ・鳥が止まれるスペースを作らないことが一つの有効手段と考えられます。
    ・繁華街などカラスの生息が多い地域では、目地にカバー材などを取り付けることも有効です。ただし、この場合は意匠性が低下します。

    カバーによる対策(例)

    事後対策

    ・欠損部の補修を行います。
    ・再発防止策を講じ、鳥が突っつけないようにする工夫が必要です。
    1)飛来しにくくする
     忌避剤・磁カ・視覚(目玉、反射板)などを利用した防鳥製品の設置
    2)飛来しても止まれなくする
     ワイヤー・剣山など防鳥機器の設置
    3)飛来しても突っつけなくする
     目地カバー材などの設置
     

    防鳥製品は匂いが切れたりすると効果が低下します。また、鳥害対策は動物保護の観点から殺傷に至る対策は講じられません。

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  • 材料

    ソルベントクラックによるプラスチック類の損傷

    シーリング材中の成分移行により、プラスチック類に微細なクラックが発生する現象です。

    ポリカーボネート板(湾曲部)に発生したソルベントクラック

    ・ポリカーボネート、アクリル、塩ビ等のプラスチック類にシーリング材を使用すると、プライマーの溶剤やシーリング材に含まれる可塑剤などがプラスチックヘ移行し、移行する成分の種類によっては微細なクラック(ソルベントクラック)が発生します。
    ・この現象は、プラスチック類の湾曲部等、ストレスがかかった状態の部位にシーリング材が接触すると顕著に現れ、極端な場合はプラスチックの破壊に至ります。

    事前対策

    ・ソルベントクラックを発生させにくい2510 (1成分形シリコーン系〈アルコールタイプ〉)(プライマー無塗布)を使用して下さい。
    ・被着体表面の溶剤清掃は行わす(やむを得ない場合はノルマルヘキサンを使用)、ウエス等で表面の汚れを除去します。
    ・特に変形などのストレスがかかった部位への施工は注意して下さい。

    事後対策

    ・既設のシーリング材を除去し、2510 (1成分形シリコーン系〈アルコールタイプ〉)(プライマー無塗布)に打ち替えて下さい。
    ・ソルベントクラックの状態がひどい場合は、部材を交換して下さい。

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  • 材料

    シーリング材による石目地周辺汚染

    シーリング材を充填した石目地の目地周辺部が濡れ色に変色する現象です。

    御影石での濡れ色汚染の状況

    御影石での濡れ色汚染の状況

    大理石での濡れ色汚染の状況

    大理石での濡れ色汚染の状況

    シーリング材に配合されている可塑剤などの液状成分が石材に移行し、濡れ色に変色する汚染を発生させたと考えられます。

    石材汚染のメカニズム

    石材汚染のメカニズム

    事前対策

    ・シーリング材成分の石材への移行を防ぐためにプライマーを塗りムラやカスレがないよう確実に塗布して下さい。
    ・石目地汚染が発生しにくい、露出目地専用のMS2970typeNS (2成分形変成シリコーン系)を使用して下さい。
    ・石材は天然素材です。同系統の材質でも産地により性質が異なるので、事前に汚染性確認試験を行って下さい。

    事後対策

    ・石材洗浄業者に依頼し、汚染物質を除去して下さい。
    ・必要に応じ、シーリング材も撤去して打ち替えます。その場合、事前対策に準じて施工を行って下さい。

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